山下達郎はエイリアン
先に言っておこう。
今までのべ何百本ものライブを観てきたが、山下達郎を超える人はいない。
そしてそれはこの先何百年経っても変わらないと思う。
昨年の彼の40周年記念ツアーで、僕は初めて関東圏を飛び出し、行きは電車で5時間近くかけ、帰りは夜行バスという若さをフル活用した強行スケジュールで、浜松公演と新潟公演を観に行った。
「稲妻に打たれる」とはまさにこのこと。ピリリと痺れてしばらく動けなかった。
そのピリリは、初めて稲妻に打たれてから何ヶ月経ったあとも、ふとした時に身体を流れた。
そして今年、千葉公演を皮切りに『PERFORMANCE 2017』の開催が決定。
もちろん行く気満々ではあったが、ただでさえ倍率が高いうえに、仕事の都合上、日曜日の公演しか行けないため、"今年は無理かな...。"と半ば諦めていた。
それがどういうわけか、まだツアーが始まって4本目なのにもう2回も観に行ってしまった。
別にフリではない。
つい10日前までは本当にそういう気持ちだったのだ。
それが、"日曜公演だしどうせ無理だろうけど一応…。"と思って登録した前橋と宇都宮のキャンセル待ちが、まさかの両方当選。
みんな!キャンセル待ちは意外と穴場だぞ!(前橋は立見、宇都宮は3階の奥だったけど)
というわけで、2週連続山下達郎のライブというファンからの嫉妬で踏み潰されそうな贅沢なできことが現実となった。
人ってあまりにも恵まれすぎると嬉しさを通り越して申し訳なくなるんだね…。
前橋も宇都宮も自宅から片道3時間近くかかるが、浜松と新潟を制した者から言わせれば御茶の子さいさい。
むしろ、"関東圏で良かった!"って思うくらいだ。
内容の詳細は今後もツアーが続くので触れないが、とにかく今年も凄かった。
休憩なしで3時間以上、常にボルテージMAXのステージ。どこを切り取ってもハイライトになるであろう瞬間の連続が、目の前に広がっていた。
どこまでもパワフルな歌声。
「ハイ」を何個もつけたくなるくらいハイクオリティな演奏スキル。
サックス、ギター、ベース、ドラム、キーボード2人、コーラス3人+山下達郎の計10人による、至極のアンサンブル。
エンターテインメント性に富んだセトリとMC
ただでさえ良い曲をさらに際立たせる演出と構成。
もう全てが完璧なのだ。
カラオケの採点とかに出てくるレーダーチャートで言ったら全てが満点で枠にぎっしぎしになっている感じ。
もはや枠を突き破っていると言いたくなるくらい。
人ってあまりにも完璧なものを観させられると、興奮を飛び越えて怖くなるのね。
今日も終盤、あまりのすごさに"達郎、誰かに狙われて殺されるんじゃないか?"っていう縁起でもないことを思ってしまうくらい。
そして、"これならチケ代10000円近かかろうが片道3時間かかろうが観にきて良かった"と、毎回必ずそう思える。(現にもうすでにまた行きたくなってる)
あのステージを65歳を間近に控えた人がやっているなんて信じられない。
どう考えても信じられない。
……。
いや〜!信じられない!
そんな風に思っていたら、ある1つの仮定が浮かんだ。
"山下達郎はエイリアンなんじゃないか?"と。
そう思い始めたのは昨年のツアーで初めて動いている彼を生で見た時。その後ろ姿に驚いたのを覚えている。
正面は還暦過ぎていると言っても納得できる(それでも充分若いが)感じだったが、後ろ姿が30代に見えたのだ。
でも何故そう見えるのかは、生・山下達郎4回目の今日もわからなかった。
特段背筋が良いわけでもないし、きらびやかな模様のついた服を着ているわけでもない。
でも30代に見える…。
その謎を無理矢理納得させるには、"地球外生命体"と思うしかなかった。
山下達郎は、地球なんかよりもっと音楽が進歩し、発展している別の惑星から来たエイリアンなんだ。そりゃ飛び抜けてすごいライブをするわけだ。
そう思えば、頑なにテレビに出ないのも、武道館とかアリーナクラスでやらないでホール公演にこだわるのにも納得がいく。
そうだ山下達郎はエイリアンなのだ。人間ではないのだ!!!
……そろそろみんながドン引きする頃だと思うので、ここら辺で筆を置くとする。
でもそれくらいすごいんだから!!
常人離れしているんだから!!!
彼のすごさをわかりやすく説明するためには、いちアーティスト、いち人間としてでは語れない。彼のライブを観たことある人にはわかってもらえるはずだ。
とにかくいつまでも元気で、いつまでもその頑固さで、これからも完璧を更新し続けてほしい。エイリアンなら向こう300年くらいは安泰なはずだから。
……あっ別に僕は山下達郎のこと狙ってないからね!
フリでもないからね!!!